船を所有するなどというのは特別なクラスの人たちの趣味かと思っていたが、今やその魅力さえ知れば誰でもが実現できる素晴らしい趣味であることがわかった。軽自動車を買う値段を出せば新品とは行かないがとても程度の良いボートが手に入る。年間維持費は自動車並だ。エンジンはディーゼルがメインで軽油を燃料とするのだが、道路を走るのではないので軽油に付加されている税金はすべて免税である。
福井県坂井市三国町にある「九頭竜川ボートパーク」は北陸三県で最大の船舶係留施設である。船の大きさにも依るが陸上であれば10万円前後、河岸係留であれば20万円前後の年間係留費で船を留め置くことができる。施設は新しくまた清掃が行き届いていてとても気持ちがいい。
このボートパークには最大377艘のボートが係留できる。まだずいぶん余裕がある。係留費が割安なので愛知や大阪などの遠方の人たちもこの福井に停めているそうだ。
ボートパークの駐車場に停めたらオフィスの人に船を出す旨を告げるだけでいい。船はデッキに台車に乗せられたままデッキのリフトまで牽引されてくる。其処から出艇までは自動である。
海上に船を出したら釣りをするのも良し、昼寝をするのも良し。錨を降ろしエンジンを切ると聞こえるのはタプンタプンとボートの腹を打つ波のの音だけだ。ゆらゆらと波に揺られて何とも心地よいのだ。
私は釣りを趣味としないが、晩御飯に1匹釣る位なら楽しいかもしれない。日差しを避ける工夫をしてサンドイッチに冷たいドリンクを用意し、デッキに寝そべりながら好きな作家の小説でも読めたらどれだけ楽しいだろうかと思う。
船遊びはその素晴らしささえ分かれば、少しもブルジョア趣味などではない。とても優雅に過ごせる時間の贅沢である。