京都市内の東側を南北に流れる鴨川に架かる五条大橋。
そのたもとに「efish」というカフェがある。 efishの「e」はアルファベットの五番目。五条大橋の5にかけてあるそうだ。
店に入ると、正面のガラス窓の向こうに鴨川のせせらぎの風景が広がっている。
春や秋などの気候の穏やかな時季にはガラス戸が完全に開け放たれている。
水面をかすめて飛び行く鷺のかすかな鳴き声が心地よい。 鴨川を借景にしたこの「efish」は素敵なビューカフェである。 もちろん、借景というロケーションだけではなく、供されたコーヒーもおいしい。
濃い目に入るロースト。 ホテルを出て、「さあ、今日はどこに行こうかな?」とプランを練るために、それとも休日の午前をスローにくつろぐために、こんなカフェでちょっとの時間を過ごせることはとても贅沢だ。そしてその贅沢はとても貴重なのである。
自分の生活の中で、オンとオフの切り替えのための時間をカフェで過ごすことは大切だと思う。
ビューカフェの魅力は、その店の窓やドアの向こうに広がる風景のそれである。
が、その景色をどう受け止めるかはその人次第だし、同じ人でもその日の気持ちで違う受け止め方をする。
人によっては癒されたかったり、あるいは清涼感が欲しかったり、高揚感を一層高めたかったり、さまざまだ。
京都の鴨川はその長い歴史の中では必ずしもこのような清流から程遠い汚濁の過去もあった。
しかし、人の世は移り行くが、川は滔々と流れ続ける。
日本史の真ん中を流れてきた鴨川を想うのも一興である。
水鳥が遊ぶ清流の自然さに浸るのもこれまた一興である。
そういう気持ちに浸れるカフェはこの京都においてもそういくつもあるわけではない。
だからこそ、「efish」に魅了されたファンは、たとえ遠くからの旅行客でも再訪するのだ。それほどに私たち旅人をひきつけるカフェなのである。