松坂屋

創業400年の名古屋の老舗

松坂屋は世界で最も古い百貨店のうちのひとつにはいる。1611年、武士の伊藤蘭丸祐道が名古屋の中心地である賑やかな城下町に高級呉服店を開いたのが始まりである。武士という高位を捨て、封建制度では最も地位の低い商人となり、伊藤は商いの道にはいる。店は伊藤家が代々継承し、1768年、伊藤祐道の子孫によって現在東京である江戸へ進出、いとう松坂という名前の呉服屋を設立した。その90年後、店舗は江戸の大火事で焼かれたが、すぐに以前よりも規模の大きく優れた店舗を再建する。1923年の関東大震災によって店は全滅、そして第二次世界大戦時に連合軍の焼夷弾攻撃によってまたしても全焼。このとき名古屋本店も完全に破壊された。

戦後の50年間、松坂屋は発展し続けたが、バブル経済崩壊の影響で売り上げは低迷、そして社員による膨大な金額請求の詐欺というスキャンダルでクリーンなイメージに傷をつけた。

経済の逆境で苦しい状態にあると思われていたが、松坂屋はあくまでも輸入品や高級市場向けの贅沢品、衣類や織物、宝飾品、家庭用品、家具、家電製品、パーソナルプロダクツを専門として販売し続けた。

東京、銀座、上野に主要店舗を構え、1978年にはパリにも開店した。香港でも2店舗、香港島が大日本帝国の軍政下にあった頃から平時の1998年という最近まで営業していた。

しかしやはり松坂屋の王冠に輝く宝玉はなんといっても名古屋市中心にある本店であろう。名古屋店は日本で最大の床面積を誇り、3つの館それぞれがスタイルに特徴を持っている。北館はエレガントなクリーム色を基調とした20世紀初頭の趣きで、南館は目を引く光り輝くスティールとガラスでできた構造をしている。7階には美術館が設置され、幅広いジャンルの展示会を催す。見所は巨大なパイプオルガンで、週末や特別な行事があるときに演奏され、1階のオルガン広場にいる客を楽しませる。このカナダ製のオルガンには3231本のパイプが設置されている。

松坂屋は現在大手百貨店グループのJフロント リテイリングの傘下にはいり、大丸松坂屋百貨店という名前で大丸グループが経営している。主要クレジットカードはすべて利用可能、サービスは日本の大手デパートでは当たり前の質、つまり最高のサービスが得られる。

松坂屋は17世紀から進化し続けてきた。最近は経営が下降気味ではあったにもかかわらず、名古屋本店は変わらずに伝統的な街のショッピングのメッカとして人々の自慢の一つであり、愛され続けている。ここで買い物をするときは、400年以上続いているサービスと質の高いショッピングを経験しているのだと、信頼をもって買い物ができるだろう。

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