創業400年「料亭 糀家」の「なまず料理」

「江戸の風情のある庭園」と「吉川のおもてなし」

Atsuko YANAGIDA   2015/02/18によって

店内に入ると庭園の中にいるような、ゆったりとした時間が流れる。刺身や天ぷら、たたき揚げといった「なまずづくし」が、この料亭では味わえる。特に「なまずのたたき揚げ」は吉川を代表する郷土料理として知られている。庭園をのぞくと勝海舟も好んだ草履脱ぎ石があり、江戸の名残がある。夜は500年前につくられた雪見灯籠の明かりやライトアップされた四季折々の花々や木々に包まれ、何とも言えぬ風情が漂う。

天井には目を見開くような大きな傘があり、壁のほうに目を注ぐと葛飾北斎の肉筆などの美術品が並んでいる。美術館のようなこの料亭で供される「なまず料理」には、吉川の心、和の心がこめられている。

吉川の郷土料理「なまずのたたき揚げ」は注文が入ってから作る料理。なまずの中落ちや骨、肝を細かくして練り、卵状に丸めたツミレを少し低めの温度の油でじっくり揚げる。やさしい味噌味で、レモンやカボスを絞っていただく。外は香ばしく、中はふわふわし、時折「骨が歯にあたる」食感がある。「なまずのたたき揚げ」は刺身や天ぷらで使わない部分を捨てずに活かした料理で、作り手によって味や形が異なる。

以前はなめらかな食感のものにしていた。しかし、昔ながらの「骨が歯にあたる」食感を大切にしたいという吉川の方の思いをくみ試行錯誤。骨を残しつつ、喉につかえなく食べやすい「料亭 糀家」ならではの「なまずのたたき揚げ」を作り上げた。

店内には美術館に貸出ししたことのある上村淳之の絵、最近展示された与謝蕪村の絵もあり、日本美術を堪能することもできる。個室や80席程度の椅子席もあり、海外から来るお客様も肩肘張らずに日本美術と料理が楽しめる。捨てるところがない「なまずの郷土料理」は、かつての日本人の栄養供給源であり、そこには日本人の精神や知恵が生かされている。とりわけ込み合う土日は事前予約をして出かけることをお勧めする。

Atsuko YANAGIDAさんによって書かれました。
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