あわら市は福井県内随一の果樹栽培地域である。
メロン、柿、スイカ、梨、ブドウ、いちご、栗など、多種多様な果樹が広大なあわらの丘陵地帯で栽培されている。
その丘陵地帯の中程の道路沿いに簡素な佇まいの店構えをみせる瑞香園(ずいかえん)。
瑞香園はブルーベリーの生の果実採りが楽しめる観光農園の機能と、喫茶や簡単な食事も楽しめるカフェの機能を併せ持つ<農家カフェ>である。
「お客さんはもっぱら地元のおばちゃまたちです。」と微笑むのは経営者の内田瑞江さん。
店の名前には自身の名を一字添えた。
オープンは2002年。
造園業を営んでいたお父上が少しずつ植えたブルーベリーの木が今では1000本にもなる。
その木々には夏になるとたわわに青紫の美味しい実がなる。
毎年二千人ものお客さんが実を摘みに訪れるという。
多くはリピーターとなって、すっかり顔なじみだ。
収穫したブルーベリーはジャムなどいろいろな食品に加工してカフェで販売している。
瑞江さんのポリシーは「できるだけ自然に。余計な物を加えない」。
やさしい味わいのジャムやシロップは大好評だ。
近くの農家のおばちゃんたちが供給してくれる採れたて野菜もすこぶる評判がいい。
B級品で曲がっていたり形がちょっと悪かったり。
しかし、味は素晴らしい。
そんなメジャーの流通には乗らないけれども美味しい野菜が、とても手頃な値段で買える。
農家も消費者もどちらもハッピー!
知る人ぞ知るお店なのである。
冬場には長野のりんご農家から太陽の光をたっぷり浴びた甘さ抜群の「さんフジ」が店先に並ぶ。
これが実に美味しい。
しかも市価より20%以上も安い。
カフェの裏庭に出てみると、ファームアニマルがやさしい目を向けてくる。
羊、ヤギ、うさぎ、そしてポニー。
始終いろんな人達が入れ替わり立ち代わりやって来るのだろうか、まったく人怖じしない。
とても人懐っこい動物たちである。
エサ代は¥100。
親としては、子どもたちにこんな家畜と触れ合う機会をぜひ与えてあげたいところだ。
日がな一日、週末あたりをのんびりと家族でこんな農家カフェで過ごすのはとても癒やされる経験になることだろう。