京都伏見の焼き鳥「鳥せい」本店

伏見の清酒「神聖」が楽しめる京都ならではの居酒屋

酒処、京都伏見。

伏見の居酒屋は酒も美味いし、肴も最高だ。飲兵衛のおじさん達は肴にもうるさいから店は鍛えられるのだろう。

大手筋商店街から南に向かい、酒蔵の白壁蔵が立ち並ぶ通りを進むと「鳥せい・本店」はある。

この「鳥せい」の歴史は古い。

およそ半世紀も前、京都四条木屋町での創業である。その十年後の1976年、清酒「神聖」とタイアップした「鳥せい・本店」を伏見に開店した。

清酒「神聖」といえば、伴淳三郎の「かあちゃん、一杯やっか~」のテレビCMがなつかしい。創業は古く江戸初期の1677年。江戸時代は長らく味噌醤油業だったが明治時代になり酒造りを専業とするようになった。神聖はブランド名で、会社は株式会社山本本家、という。伏見の中堅酒造メーカーである。

 この「鳥せい・本店」は「神聖」の酒蔵を改装したものだ。

「鳥せい」はフランチャイズビジネス路線を展開したい。

山本本家は客の生の声を吸い上げて酒造に反映したい。

そんな双方の思惑が一致した。

だから「鳥せい」は両者にとってのパイロットショップと言えようか。

 そのような企業側の思惑を客は知らないが、店は大人気である。

夕方早い時間であるのに席待ちのリストには名前がずらり。皆よく知っているのだ。

  カウンターに通されて店内を見渡すと、黒光りする梁と白壁。酒蔵で利き酒でもしているような雰囲気だ。

注文した「神聖・純米大吟醸」と「焼き鳥盛り合わせ」が前に置かれた。

「焼き鳥」を極めたという「鳥せい」の言葉があながち誇張ではないと痛感する。新鮮で旨味の深い鳥肉を上手に焼いている。たれもいい加減の味だ。

「神聖」の酒は、押し出しが強すぎず弱すぎずが特徴だろうか。食事のバイプレーヤーに徹する酒造りのポリシーが伝わってくる。

居酒屋なのでメニューの種類も豊富だし、何より美味しいのが嬉しい。

京都伏見の利き酒巡りのベストコースをご紹介しよう。

まずは「吟醸酒房・油長(あぶらちょう)」で、伏見19酒蔵の酒を存分に利き酒する。

それから、この「鳥せい」で食事をきちんと取る。ついでに「神聖」の利き酒をも楽しむ。それから、「黄桜」なり「月桂冠」なりの酒蔵探訪に遊ぶ。

もしあなたが日本酒が好きなら伏見の酒蔵歩きは京都紀行では絶対に行程に組み込むことだ。京都ぶらぶらの面白さが倍増する。そして伏見で昼食を取る。もちろんここ「鳥せい・本店」である。大をリボン結びにしてお薦めする。

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